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獣医が解説!猫ちゃんの真っ黒の耳あかに注意…ダニの可能性があります!症状といちばんよく効く治療方法

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猫ちゃんが耳を痒そうに掻いているときに、真っ黒のパラパラした耳あかが大量に出ることがあります。耳あかの色や形状で原因がわかることもあります。チェックリストに当てはまる場合は受診して、治療を受けてくださいね。

真っ黒・パラパラの耳あかはミミダニかもしれません

猫ちゃんの耳に寄生するダニに、ミミダニがいます。正式には「ミミヒゼンダニニ(学名Otodectes cynotis、疥癬虫」と言います。猫ちゃんの耳の中に寄生して、皮膚表面を引っかいて食べたり、リンパ液を吸収しています。

皮膚を引っかくので痒みがひどく、このダニが寄生した猫は耳を気にし、頭を振ったり、耳をひどく掻いたりします。

ミミダニの耳あかは特徴的で、真っ黒でパラパラし、掃除をしてもきりがないほどドンドン出ます。「もしや?」と思った方は、次のチェックリストでチェックしてみてください。

  • 頭を振っている
  • 耳を痒がり掻いている
  • 耳の後ろや首にひっかき傷がたくさんある
  • 耳掃除をしても汚れる
  • 黒くてパラパラの耳あかが出る
  • 同居の猫も耳を痒がる

1つでも当てはまったらミミダニの可能性がありますので、早めに動物病院を受診しましょう。

ミミダニってどんな虫?

ミミダニは大きさが0.2~0.3mmほどの大きさで、メスのほうが大きい寄生虫で、外耳道に寄生しています。

卵が孵化すると2回脱皮をして大人のダニ(成ダニ)になります。卵から成ダニになるまでに大体2~3週間かかります。

成ダニになるとメスは1日に2~3個の卵を産み、生涯の産卵数は20~50個と言われています。

ミミダニはどのようにして感染する?

ミミダニは感染力が非常に強く、ミミダニが感染している猫と接触すると簡単に感染します。

ミミダニの成虫は耳の中にだけ寄生しますが、耳を掻いたり頭を振ったりしたときに、たまたま床や地面に卵やダニが落下してしまう可能性があります。

このような卵が孵化すると、宿主を探して感染が広がります。

多頭飼いで同居している猫や、たまたま接触した猫がミミダニに感染していれば、おうちの猫ちゃんにもうつってしまう可能性が大いにあります。

ミミダニの治療方法

ミミダニの治療は、注射をする、殺ダニ剤の入った点耳薬を耳に入れる、飲み薬など様々な方法がありますが、今は皮膚につけるお薬を用いるのが主流です。

注射による治療は痛みと回数が面倒

注射は痛みを伴い、時には体調不良を引き起こすため、注意して使う必要があります。

また、1週間に1回定期的に注射して、ミミダニが確認できなくなるまで続けます。

点耳薬による治療は時間がかかる

点耳薬の場合、せっかく薬を耳に入れたのに、猫が耳に対しての刺激や違和感で頭を振ると、薬が飛び出してしまい、効果が下がります。

効果がないわけではありませんが少々時間がかかる方法です。

飲み薬による治療は猫が嫌がりやすい

飲み薬の場合は、嫌がって飲んでくれない場合があります。

猫の中には、嫌な味のするものを口に入れると泡を吹いて全く受け付けない場合があります。

一番おすすめは皮膚に付けるタイプの薬

そこでお勧めするのは皮膚につけるタイプのお薬です。

「セラメクチン」という薬品が主成分のお薬で、猫ちゃんの後頭部から首のあたりの皮膚に塗布します。

3週間に1回塗布し、約2か月でほぼ完治します。最初の1か月は耳垢が相変わらず出たままになるので効果があるのか不安になってしまうかもしれませんが、1か月を超えると劇的に症状が改善していきます。

このお薬は成ダニや幼ダニに効きますが、卵には効きません。成ダニや幼ダニは塗布後、じわじわ死滅していきますが、卵は残ります。

ですが、この卵が孵化してダニになってから、猫ちゃんの皮膚を引っかく・リンパ液を吸収するというタイミングで薬の成分を体内に取り込み、死んでいきます。そして治療完了となります。

まとめ

ミミダニは感染力が強く、ヒトには長期にわたって寄生することはありませんが、一過性の寄生は起こる可能性があります。

他に同居している犬や猫がいる場合、感染が広がり、治療が大変になりますので、気づいたらなるべく早く対処するのが大切です。

セラメクチンのお薬はフィラリア予防、ノミダニ予防、回虫駆除、ミミダニの駆除・予防ができます。1か月に1回の塗布でシャンプーしたり濡れても効果に変わりはありません。

もし耳垢がおかしいなと思ったら動物病院を受診して、しっかり治療・予防を受けさせてあげましょう。

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【執筆者】 とある開業獣医師

bottom_writer某大学農学部獣医学科卒業。病院勤務を経て、2000年代に動物病院を開業。飼い主と犬のかけがえのない日々の手助けをすることをモットーに、疾患の治療だけでなく、最適なドッグフードの選択のお手伝いも含めライフスパンのトータルケアを行う。